2009 Fiscal Year Annual Research Report
DNA二重鎖切断の認識・修復の分子機構の解明とがん放射線治療への応用
Project/Area Number |
08F08468
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松本 義久 Tokyo Institute of Technology, 原子炉工学研究所, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SHARMA Mukesh Kumar 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | DNA修復 / DNA-PK / XRCC4 / XLF(Cernunnos) / タンパク質リン酸化 / 放射線感受性 |
Research Abstract |
本年度は、DNA-PKによるXRCC4のリン酸化の意義の解析を中心に行った。昨年度の研究も含めて、これまでにXRCC4の4カ所のリン酸化部位を同定し、それぞれに対するリン酸化状態特異的抗体を作製した。本年度は、更にもう1カ所に対するリン酸化状態特異的抗体を作製した。また、これら計5カ所のリン酸化部位をアラニンに置換した変異体cDNA発現ベクターを構築し、これをXRCC4欠損細胞M10に導入して、安定発現株を樹立した。その放射線感受性をコロニー形成法で評価した結果、うち2カ所のリン酸化部位を欠損する細胞で明らかな放射線感受性の亢進が認められた。この結果から、これらのリン酸化部位がDNA二重鎖切断修復におけるDNA-PKとの協調に重要であることが示唆された。また、リン酸化部位の保存性を探るため、DT40細胞からトリXRCC4cDNAをクローニングした。その結果、上記で重要と示唆された2つのリン酸化部位がトリXRCC4にも存在することが確認され、DNA-PKによるXRCC4のリン酸化制御が鳥類と哺乳類間で保存された役割を持つことが示唆された。更に、2カ所のうち1カ所はスレオニンであったことから、FHAドメインを有するタンパク質との相互作用の可能性が考えられた。FHAドメインタンパク質は多数あるが、その中から可能性が高いと考えられたタンパク質について結合実験を行った。その結果、リン酸化部位欠損体でも結合が見られ、少なくとも別の結合部位があると考えられた。更に、ペプチドを固相化したアフィニティー・カラムを作製して他の結合分子を探索した。
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