2009 Fiscal Year Annual Research Report
沈み込むプレートの海溝からスラブ先端までのP波・S波高解像度イメージング
Project/Area Number |
08F08502
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
深尾 良夫 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 地球内部ダイナミクス領域, 領域長
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WANG Zhi 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部ダイナミクス領域, 外国人特別研究員
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Keywords | トモグラフィー / 地殻マントル / 海洋プレート |
Research Abstract |
当該研究員の研究意欲はきわめて旺盛であり、前年度に発表した2論文(それぞれ2008年岩手・宮城内陸地震の震源域、2008年四川省大地震の震源域付近の構造異常をトモグラフィー的手法で求めた論文)に引き続き、本年度は台湾における沈み込むスラブに関するトモグラフィー研究の結果を発表した。台湾は台湾を挟んで東西両側からプレートが沈み込む特異な場所であるが、当該研究員は台湾のデータのほか対岸の中国本土のデータを自ら集めて、得意なプレート沈み込み構造を鮮明にイメージすることに成功している。当該研究員は現在第4論文を準備中であるが、これが手法的にも新しく、データ的にもオリジナルなもので本計画の最大成果と言える。手法的には、同じ地震と観測点のペアにおけるP波とS波の到達時刻のみを用い、P波とS波の速度比異常をデータに対して最適化する手法を開発した。またデータ的には、膨大な数のsP波到達時刻を読み取り、これを海底地震観測で決定した地震の震源位置と比較することにより海底下S波速度構造の較正を行った。こうした新しい手法と新しいデータを用いて行ったトモグラフィーによれば、前弧地殻が東北日本全域にわたって高ポアソン比であることが明らかになった。ただ残念なことに、滞在最後の3カ月は高血圧で歩行困難となり且つ強度の頭痛で自宅での研究遂行も困難になったため、この間の進捗(即ち結果を論文にまとめ発表すること)は殆ど見られなかった。中国に戻って症状は落ち着きつつあり、ドラフトを書き上げるまでに回復したので論文の完成も間近いと期待される。
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Research Products
(2 results)