2008 Fiscal Year Annual Research Report
超分子ハイブリッドナノチューブおよびナノファイバーによる生体分子の選択的認識
Project/Area Number |
08F08503
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
清水 敏美 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, ナノチューブ応用研究センター, 副研究センター長
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LEE Soo Jin 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノチューブ応用研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | 自己集合 / 非対称くさび形脂質 / オリゴグリシン / 脂質ナノチューブ / 水素結合 |
Research Abstract |
特定の官能基が脂質チューブ内表面にのみ局在化し、ゲスト分子が脂質ナノチューブ内部で相互作用しうる系を実現させるため、新たなくさび形両親媒性分子を設計した。大きさが異なる2つの親水部として、分子両末端それぞれにグルコース残基とオリゴグリシン残基のカルボキシル末端を含む、脂質X(n)を合成した(Xはグリシン残基の数、nはメチレンの数)。合成した脂質X(n)1mgを1mLの沸騰水に分散し室温まで徐冷することにより、脂質分子集合体を得た。透過型電子顕微鏡で観察したところ、その形態はグリシン残基数に強く依存することが分かった。脂質1(16)は内径約25nm壁厚12nmの脂質ナノチューブを形成するのに対して、脂質2(16)は壁厚3nmで内径が7nmと小さい脂質ナノチューブを形成した。脂質2(16)から形成される脂質ナノチューブについて、赤外分光を測定したところ、1416cm^<-1>と1027cm^<-1>の2か所に吸収ピークが観察された。このことから、この脂質ナノチューブ内のグリシン残基間には、ポリグリシンII型として知られる多重の水素結合ネットワーク構造が形成されていることが判明した。また、熱測定から相転移温度が109℃と比較的熱安定性が高いことが分かった。エックス線回折から見積もった脂質膜の厚みは単分子膜に相当する3.5nmであることから、この脂質ナノチューブは非対称な単分子膜がパッキングした構造をとっていると考えられる。 この脂質ナノチューブでは、内表面をオリゴグリシン親水基のカルボキシル基が、外表面をよりかさ高い糖親水部が覆っていると推測できる。オリゴグリシン親水基間に強い水素結合が作用することにより、非対称の分子パッキングが安定化されると同時に、7nmと小さな内径をもつ脂質ナノチューブの形態が実現できたと考えられる。
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Research Products
(1 results)