2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08F08517
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
山村 隆 National Center of Neurology and Psychiatry, 神経研究所・疾病研究第六部, 部長
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RAVENEY Benjamin Joseph Edward 神経研究所, 免疫研究部, 外国人特別研究員
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Keywords | 免疫学 / 自己免疫疾患 / サイトカイン / IL-17 / 腸管免疫 / 核内受容体 |
Research Abstract |
我々はこれまでに、腸管免疫系に広く分布するTh17細胞の機能制御に関わる生体因子として、腸内細菌成分やレチノイン酸などの重要性に着目して解析を進め、RAR/RXRやNR4A2やなどの種々の核内受容体がTh17細胞機能制御に深く関与することを明らかにしてきた。今年度は、まず自己免疫疾患に対するRAR/RXRの機能解析として、すでに治療薬として臨床応用されている合成レチノイドAm80を用いて、実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)、および実験的自己免疫性ぶどう膜炎(EAU)の2種の誘導性自己免疫モデルに対する病態制御効果を、Th17細胞機能制御の観点から解析した。その結果、Am80の経口投与によりTh17細胞機能が抑制され、自己免疫モデルに対する顕著な治療効果を示すことを明らかにした。とくにEAUにおけるAm80の効果は顕著であり、発症時の網膜内への細胞浸潤を強力に抑え込む効果があることが示された。点眼によるAm80の局所投与の効果についても平行して解析をすすめている。次に、自己免疫疾患に対するNR4A2の機能解析としては、疾患発症時のT細胞におけるNR4A2の挙動に関わる基礎データの取得をすすめ、ナイーブT細胞、メモリーT細胞、制御性T細胞などそれぞれのT細胞群に特徴的なNR4A2の発現パターンが存在することを明らかにした。さらにに最近になって、IL-17レポーターマウスおよびRORγtレポーターマウスの樹立に成功したことから、これらのマウスを併用して引き続き解析をすすめている。また、我々が見出したNR4A2特異的siRNAの局所投与により、EAUの発症が有意に抑えられる可能性を見出し、治療用ツールとしてのsiRNAの汎用性を示したのみならず、NR4A2自身がin vivoにおいて極めて有用な疾患治療ターゲットとなりうることを示した。さらに詳細な解析をすすめるため、現在NR4A2遺伝子のコンディショナルノックアウト(NR4A2cKO)マウスの作製を引き続き進めており、近日中に自己免疫疾患モデルにおける解析をはじめる予定である。一連の結果は、種々の自己免疫疾患におけるRAR/RXRおよびNR4A2の重要性を示しており、これらの核内受容体分子をターゲットとした新規治療法の可能性を示唆するものと考えられた。
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Research Products
(6 results)