2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08F08604
|
Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
笠井 康子 独立行政法人情報通信研究機構, 電磁波計測研究センター環境情報センシング・ネットワークグループ, 主任研究員
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DUPUY Eric 独立行政法人情報通信研究機構, 電磁波計測研究センター環境情報センシング・ネットワークグループ, 外国人特別研究員
|
Keywords | Water Vapour / Dimer / Atmosphere / Infrared / ACE-FTS / Spectroscopy |
Research Abstract |
地球大気中には酸素や窒素、そして水蒸気から分子錯体が存在することが知られているが、そのふるまいは明らかではない。しかしその量は地球大気中でN2,H2,O2,H2O,CO2に次いで多いと考えられ、これまで多くの研究者が直接検出を試みて来た。本件球では従来の地上検出実験よりも1000倍ほどの感度を持つ衛星観測により水蒸気ダイマーの初検出を試みた。カナダの赤外分光衛星ACE-FTSの観測周波数範囲は中間赤外750 and 4400cm^<-1>であり、周波数分解能は0.02cm^<-1>である。太陽掩蔽法により地球大気をリムジオメトリで観測する。大気分子錯体H2O-H2Oを検出するのに必要な「周波数高分解能・周波数広域・高感度」を兼ね備えた分光計である。 本研究ではACE-FTS分光計観測のうち3つの周波数窓を選んで解析し、水蒸気ダイマーH2O-H2Oの検出を試みた、周波数窓幅は40cm^<-1>で、周波数領域は1615,3200 and 3716cm^<-1>である。しかしながら、水蒸気やHNO3からの干渉が大きく、水蒸気ダイマーのみのスペクトルを検出することは出来なかった。 最後の半年間は研究方針を変更し大気中におけるH2O-O2錯体の存在量見積とその振る舞いの感度解析を行った。H2O-O2の存在量は[H2O-O2]=Kp[H2O][O2]で記述できる。分子科学計算でこれまでにない精度で精密に見積もられたKpを用い[H2O-O2]量をグローバルに求めた。これにより、地表面ではppmオーダーでCH4量に匹敵する量があること、対流圏ではその存在量は水蒸気量に比例するが、対流圏界面では気温に比例することが分かった。
|
Research Products
(1 results)