2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08F08625
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Research Institution | Japanese Foundation For Cancer Research |
Principal Investigator |
北野 宏明 Japanese Foundation For Cancer Research, 癌研究所システムバイオロジー部, 部長
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DANIEL Peter Berrar 財団法人癌研究会, 癌研究所・システムバイオロジー部, 外国人特別研究員
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Keywords | 乳がん / 発現解析 / 予後予測 / バイマーカー / ネットワーク |
Research Abstract |
本研究の目的は、乳がんに関して、遺伝子発現解析や配列解析の結果を、たんぱく質相互作用ネットワークや転写制御ネットワークに対応させることで、ネットワークの擾乱として、がんの分類と治療に対する応答性を予測し、最適な治療戦略を導く研究を行うことである。これは、従来のSNPsのみのアプローチに比べ、複雑ではあるが、よりがんの応答を正確に捉えやすく、より適切な治療戦略の策定が可能となると考える。この解析に、受け入れ側で提唱しその理論構築を進めている生物学的ロバストネス理論を基盤に、ロバストネス・トレードオフの考えを抗がん剤治療の領域に実証的に当てはめた解析を行う。このことで、がんの抗がん剤に対する抵抗性と脆弱性の関連を理論化し、治療戦略の向上に貢献したい。 この計画中心の課題である発現データと臨床成績との相関部分において、乳がんに関するデータ解析に関して大きな進展を見た。公開されている965件のデータを統合し、エストロゲンレベルやHER2の発現レベルなどの情報を抽出し、データ間の違いを補正する等の作業も完了し、統計的手法に基づいて発現データと治療の予後との相関を同定することに一定の成果が見られ、論文を執筆中である。これらの解析は、よく用いられるマーカとの比較をしながら、その精度などの検証を行っている。特に、転移が予測できるかに注目して研究を進めている。 さらに、統計的手法の検証の為の新たなデータの擾乱方法を考案し、解析結果のより確かな検証方法を編み出した。また、これらの解析から、複雑なシステムのロバストネスという観点からどのように人工知能研究が関係するかを考察し、論文としてまとめた。 このように、研究は順調に進んでいる。高次元データのクラスタリングと可視化に関する論文を発表し、さらに関連論文も数本執筆中である。
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Research Products
(2 results)