2008 Fiscal Year Annual Research Report
興奮性、および抑制性シナプス制御の分子機構と脳発達障害について
Project/Area Number |
08F08628
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
桃井 隆 National Center of Neurology and Psychiatry, 神経研究所疾病研究第5部, 室長
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DAI Hongmei 国立精神・神経センター, 神経研究所疾病研究第5部, 外国人特別研究員
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Keywords | 自閉症 / G蛋白結合受容体 / 抑制性シナプス / 海馬 / 社会行動 |
Research Abstract |
Gタンパク結合受容体(GPR)はオキシトシン受容体、セクレチン受容体、シナプス受容体以外にも多くの機能不明な受容体(オーファン受容体)の存在が知られている。GPRの機能と社会行動性との関連を調べるため、本年度は、grpの欠損(KO)マウスに焦点をあて、脳での病態変化を解析した。形態学と病理学の手法により、grpkOマウスは、WTマウスと比べて、脳のサイズが大きく、側脳室が拡大する傾向が観察された。Gprの発現が高い脳部位である海馬では、gprKOマウスの方がWTマウスより明らかに大きくなっていた。Western Blottingの結果では、海馬における抑制性シナプス受容体であるGABA_B受容体の発現量の差が観察され、KOマウスでは有意に低下が認められた。一方、Synaptophysinの発現量の差は観察されなかった。これらの結果から、海馬でのgpr受容体のシグナル伝達系がなんらかの分子機構を介して、抑制性シナプス受容体であるGABA_B受容体の発現量を調節していると考えられる。今後、WTとKOマウスからの神経細胞培養系を用いて、抑制シナプスの変化を調べ、gprの機能と抑制性シナプス、社会行動性との関連を明らかにする予定である。
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