2009 Fiscal Year Annual Research Report
興奮性、および抑制性シナプス制御の分子機構と脳発達障害について
Project/Area Number |
08F08628
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
桃井 隆 National Center of Neurology and Psychiatry, 神経研究所 疾病研究第5部, 室長
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DAI Hongmei 国立精神・神経センター, 神経研究所 疾病研究第5部, 外国人特別研究員
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Keywords | 自閉症 / G蛋白結合受容体 / 抑制性シナプス / 海馬 / 社会行動 |
Research Abstract |
Gタンパク結合受容体(GPR)はオキシトシン受容体、セクレチン受容体、シナプス受容体以外にも多くの機能不明な受容体(オーファン受容体)の存在が知られている。GPRの機能と社会行動性との関連を調べるため、去年度は、grp85の欠損(KO)マウスに焦点をあて、脳での病態変化を解析したところ、海馬における抑制性シナプス受容体であるGABA_B受容体の発現量の異常が見られた。本年度では、されに、WTとKOマウスからの海馬神経細胞培養系を用いて、抑制シナプスの変化を調べた。その結果、gpr85KOマウスは、WTマウスと比べて、海馬における抑制シナプスの数が減少され、興奮シナプスでは、明らかな変化がなかった。また、海馬におけるGABAの合成酵素であるGAD65/67の発現でも、gpr85KOマウスの方がWTマウスより有意に減少された。こういった結果から、gpr85KOマウスが海馬における抑制性神経の障害が存在することが分かった、gpr85受容体が海馬における抑制性シナプス伝達と関連する可能性が高いと考えられている。今後、さらに、gprWTとKOマウスの行動変化を調べて、gprの機能と抑制性シナプス、社会行動性との関連を明らかにする予定である。本研究は、自閉性障害などの病因解明に役立つことになると考えている。
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