2010 Fiscal Year Annual Research Report
興奮性、および抑制性シナプス制御の分子機構と脳発達障害について
Project/Area Number |
08F08628
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
桃井 隆 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DAI Hongmei 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 自閉症 / G蛋白結合受容体 / 抑制性シナプス / 海馬 |
Research Abstract |
自閉症患者に変異が確認されたGタンパク結合受容体(GPR)の機能と社会行動性との関連を調べるため、去年度は、grp85の欠損(KO)マウスに焦点をあて、脳での病態変化を解析したところ、海馬における抑制性シナプス受容体であるGABA_B受容体の発現量の減少が認められた。本年度、さらにWTとKOマウスからの海馬神経細胞培養系を用いて、抑制性シナプスにおけるGABA_B受容体の発現変化を検討した。その結果、WTマウスと比べて、gpr85KOの方では、抑制性シナプスにおけるGABA_B受容体の発現が有意に減少された。興奮性シナプスマーカーであるPSD95では、有意な変化がなかった。一方、Western Blotting法を用いて、GABA_B受容体の結合蛋白であるKCTD12の発現を検討した結果、海馬におけるKCTD12は、WTマウスと比べて、gpr85KOマウスの方が有意に増加された。GABAの合成酵素であるGAD65/67の発現については、WTとKOマウスの差がなかった。そして、興奮性シナプスマーカーであるSynapsin Iにおいても、差がなかった。こういった結果から、gpr85KOマウスが海馬における抑制性神経の障害が存在することが分かった、gpr85受容体が海馬における抑制性シナプス伝達と関連すると考えられる。
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