2009 Fiscal Year Annual Research Report
Belle実験におけるBとBs中間子の稀崩壊の研究
Project/Area Number |
08F08713
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
中尾 幹彦 High Energy Accelerator Research Organization, 素粒子原子核研究所, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JEAN Wicht 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | B中間子 / 稀崩壊 / 輻射崩壊 / 標準理論 / Belle実験 |
Research Abstract |
平成21年度は、現在高エネルギー加速器研究機構で行われているBelle実験においてで蓄積された大量のB中間子事象のうち、光子を終状態に含む輻射稀崩壊の研究に取り組むとともに、Belle実験で蓄積された大量の事象データを最大限に活かすために再整備された事象再構成プログラムを全データを適用しなおす取り組みに中心的役割を果たした。 輻射稀崩壊に関しては、平成21年度にはインクルーシブb→sγの測定とB→K*1+1-崩壊の前後非対称性の測定という新物理に感度の高い測定を学術誌に発表することができた。また、学術誌には未発表だが、インクルーシブb→s1+1-の精度良い測定にも成功し、国際会議等における報告で高い反響を得ている。b→sγ過程の結果からは、例えば新物理で登場する荷電ヒッグス粒子の質量は300GeV以上であるという制限をつけることができる。B→K*1+1-に関しては標準理論とあまり良く合わないので新物理の影響の可能性が議論されているが、b→s1+1-では逆に標準理論と良く合うため、今後の進展が期待されている。 事象再構成に関しては、全データのさらに6~10倍のモンテカルロ・シミュレーション事象の生成を統括した。これらのモンテカルロ事象はデータ解析におけるバックグラウンド事象の除去アルゴリズム等の研究に不可欠である。ただでさえ莫大なデータをさらに一桁上回る量のデータを生成し取り扱うためにBelle実験に参加する各国の計算機資源をすべて活用し、最終的に高エネ機構でまとめられた。 このようにBelle実験データ解析環境の大幅な整備が進められた上で、課題であるB中間子の稀崩壊の重要な研究を進めることができた。
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Research Products
(4 results)