2008 Fiscal Year Annual Research Report
Belle実験におけるBとBs中間子の稀崩壊の研究
Project/Area Number |
08F08713
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
中尾 幹彦 High Energy Accelerator Research Organization, 素粒子原子核研究所, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WICHT Jean 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | B中間子 / 稀崩壊 / 輻射崩壊 / 標準理論 / 小林益川行列 / Belle実験 |
Research Abstract |
平成20年度は、現在高エネルギー加速器研究機構で行われているBelle実験においてで蓄積された大量のB中間子事象のうち、光子を終状態に含む輻射稀崩壊の研究に取り組んだ。輻射稀崩壊の素過程には、b→sγとb→dγがある。前者は分岐比が1万分の3程度で、素粒子の標準理論を越える物理現象に感度があり、また小林益川行列要素Vubの測定に重要な情報を引き出せる。後者の分岐比は10万分の1程度であり、前者からの粒子誤識別によるバックグラウンドの影響が大きく難しい測定であるが、小林益川行列要素Vtdの測定を行うことができる。これらの素過程をインクルーシブに測定するために、本研究では多数の終状態の重ね合わせとして測定を行う。データ解析にあたっては、これまでの比較的類似した解析での手法を改善するために、さまざまな新しい試みを取り入れた。まず、粒子の崩壊過程を効率よく再構成する解析手法を導入した。このことにより、b→sγとb→dγの2種類の解析を効率良く同時に進めることができている。次に、これもBelle実験の解析ではほとんど使用されてこなかったニューラルネットワークを用いた事象選別の手法を取り入れ、解析効率の向上を実現した。また、バックグラウンドの見積りに重要なモンテカルロ事象の生成に関して、大量のB中間子事象データのさらに6〜10倍の事象を生成の統括を行った。これはBelle実験全体で共有できる貴重なデータとなる。Belle実験におけるデータ解析では、モンテカルロ事象ですべての確認を終えたことを実験グループ内の第三者が確認し終えるまで実際のデータの解析を行わない「ブラインド解析」の手法をとっているため測定結果はまだ得られてはいないが、ほぼ予定通りデータ解析手法の構築が進められている。
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