2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08F08722
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Research Institution | Osaka Bioscience Institute |
Principal Investigator |
裏出 良博 Osaka Bioscience Institute, 分子行動生物学部門, 研究部長
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
YOAN Cherasse 財団法人大阪バイオサイエンス研究所, 分子行動生物学部門, 外国人特別研究員
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Keywords | プロスタグランジンD_2 / リポカリン型PGD合成酵素 / 生理的睡眠 / flox-L-PGDSマウス / アデノ随伴ウイルス / くも膜 / 脈絡叢 / オリゴデンドログリア細胞 |
Research Abstract |
動物の生理的な睡眠は、リポカリン型プロスタグランジン(PG)D合成酵素(L-PGDS)/PGD_2/DP_1受容体系により制御される。脳内のPGD_2供給源として、くも膜、脈絡叢、オリゴデンドログリ細胞の3種類が考えられる。我々は、睡眠誘発に関与するPGD_2の産生を行う細胞を同定する為に、Creリコンビナーゼを発現したアデノ随伴ウイルス(AAV)をflox-L-PGDSマウスに感染させ、其々の細胞に特異的なL-PGDS KOマウスの作製を試みた。 くも膜:L-PGDSは、くも膜柱状細胞に最も強く局在するので脳内におけるPGD_2の主な供給源と考えられる。成体マウスの脳のくも膜全体へのAAV感染は困難なので、生後二日の新生仔マウスを用い、数種類の血清型(1,2,5,8,9,10,11)の異なるAAVをテストした結果、血清型8のAAVがくも膜に効率的に感染した。この手法を用いて、くも膜のL-PGDSを特異的にノックアウトしたマウスを数匹作製した。 脈絡叢:血清型5のAAVが脈絡叢に高い親和性を示したので、血清型5のCreリコンビナーゼ発現AAV(50μl)をflox-L-PGDSマウスの脳室内に注入し、4週間後の睡眠を測定した。しかし、この遺伝子操作マウスと野生型マウスの間で睡眠の差異は認められなかった。従って、睡眠調節における脈絡叢の役割は小さいと考えられる。 オリゴデンドログリア細胞:この細胞は脳全体に分布するので、AAVを完全に感染させることは困難である。そこでflox-L-PGDSマウスとNestin-Creトランスジェニック・マウスを交配して、脳実質でのL-PGDSノックアウトマウスを作製した。 これらの3種類の細胞特異的なL-PGDS KOマウスは、生理的な睡眠の制御におけるL-PGDS/PGD_2/DP_1受容体系の役割を解き明かすために極めて有効である。
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Research Products
(1 results)