2008 Fiscal Year Annual Research Report
細胞活性の計測を目指す生体分子モータを用いたバイオチップの開発
Project/Area Number |
08F08724
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤田 博之 The University of Tokyo, 生産技術研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BOTTIER Celine 東京大学, 生産技術研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 生体分子モータ / キネシン / 微小管系 / リポソーム / 油滴 / 電気融合 |
Research Abstract |
ナノスケールでは、スケーリング則に流体が支配され、拡散による輸送が主体になる。このことは、分子や粒子を能動的に輸送するナノデバイスには、生体分子モータが効果的なオプションになることを示している。生体分子モータの一つである、タンパク質のキネシンは、ナノスケールの高効率なエンジンであり、生物の種々のプロセスにおいて重要な役割を果たしている。これはATPの化学エネルギーを機械的仕事に変換することによって、微小管(直径24nm、長さは数十μmの繊維状のポリマー)に沿って動くことができる。 本研究の目的は「細胞活性測定のための生体分子に基づくバイオチップの開発」である。初年度は、細胞を模擬したモデルである「リボソームと油滴」を用いて基礎研究に取り組み、「キネシンを用いた輸送」と「2種類の輸送物質の電気融合」を実現するシステムの提案と設計を行った[7,9,13;発表リスト参照]。これは、液体積荷中の僅か数個の分子や粒子を取り扱う画期的な方法であり、キネシンを用いた能動輸送が「ナノサイズのlab-on-a-chip」へ適用できることを示したものである。 このシステムを実証するために、油滴を用いた輸送アッセイを行った。リポソームを用いた実験も現在進行中である。輸送アッセイでは、キネシンに油滴を載せた状態で、キネシンモータの動作特性(速度と輸送距離、70回)を評価した。実験結果から、油滴はキネシンのモータ特性を変化させないことが分かった。また、油滴の直径がキネシンの輸送特性に与える影響を調べた。これによると、速度は油滴の直径に関係なく一定であり、一方で油滴の直径が増加すると、輸送距離は著しく増大した。これらの結果を、輸送に関与しているキネシンモータ数との相関関係から評価したところ、実験結果は理論モデルとよく一致することがわかった。
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Research Products
(7 results)