2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08F08734
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
川口 建二 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, ナノテクノロジー研究部門, 主任研究員
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SWIATKOWSKA-WARKOCKA Zaneta Elzbieta 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノテクノロジー研究部門, 外国人特別研究員
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Keywords | 液相レーザー照射法 / 複合ナノ粒子 / 交換バイアス効果 / 磁性 / マグネタイト |
Research Abstract |
本研究は、液相レーザー照射法という新規なレーザープロセスを用いて、機能材料への展開が期待出来る磁性ナノ粒子の作製と形態制御を目指すものである。昨年に引き続き、鉄酸化物系を原料として研究を進めた。今年度は、原料のマグネタイトナノ粒子を主に酢酸エチル中に分散させた溶液に、紫外光であるNd:YAGレーザーの3倍波(355nm)を照射した。その結果、照射レーザーの強度を変えるだけで、生成粒子の粒子径のみならず鉄と酸素の組成比が異なる複合ナノ粒子の生成に成功した。生成ナノ粒子は、マグネタイト(Fe3O4)及び還元されたウスタイト(FeO)やセメンタイト(Fe3C)、及び金属Feの混合溶融粒子になっている。熱力学計算から、マグネタイトが溶融する1500℃の高温では酢酸エチルは、水素、一酸化炭素という還元性気体と固体炭素に分解することが分かっており、溶融粒子表面での還元反応によるものと思われる。照射レーザーエネルギーを増加することで、粒子組成はマグネタイト→ウスタイト→セメンタイト+金属Feと系統的に変化させることが出来る。また、ウスタイトとマグネタイトの混合粒子の磁化測定を行ったところ、明瞭な磁気交換バイアス効果が観測された。これは、反強磁性のウスタイトとフェリ磁性のマグネタイトが強い磁気相互作用を行う界面を形成していることを意味しており、ウスタイトとマグネタイトの混合ナノ粒子は、それぞれが独立したナノ粒子である混合生成物では無く、強く粒子結合した二次粒子を形成していることを示している。電子顕微鏡観察では、約100nm程度の粒径を持つ球形粒子が観測されるが、この球形粒子の内部は2種類のナノ粒子の結合によって構成されているものと思われる。
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Research Products
(5 results)