2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08F08734
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
川口 建二 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノシステム研究部門, 主任研究員
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SWIATKOWSKA Zaneta 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノシステム研究部門, 外国人特別研究員
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Keywords | 液相レーザー照射法 / 複合ナノ粒子 / 磁性 / 交換バイアス |
Research Abstract |
本研究は、液相レーザー照射法という新規なレーザープロセスを用いて、機能材料への展開が期待出来る磁性ナノ粒子の作製と形態制御を目指すものである。昨年までの成果を基に今年度は、2種類の混合原料を用い、磁性複合ナノ粒子のより高度な合成プロセスを目指した。照射光には、還元効果などで効率が高いNd:YAGレーザーの3倍波(355nm)を用いた。 同じ三価の鉄酸化物で構造が異なるヘマタイトとマグヘマイトの混合原料では、50mJ/pulse程度の弱い照射強度でほぼ100%マグネタイトに還元され、さらに照射強度を増やすと還元度の高いウスタイトの組成が増す。組成制御の点ではマグネタイト原料のみの場合と大差無いが、粒径の均一性に改善が見られた。NiOとヘマタイトの混合原料の場合、レーザー照射によってマグネタイト、NiO、Niの複合粒子が得られた。しかも、その磁化曲線は磁場中冷却でも無磁場中冷却でも変わらない大きさで、印加磁場と逆方向へシフトした磁気交換バイアスを示した。詳細は不明だが、NiかマグネタイトがNiOと反強磁性的な界面結合をしている可能性が示唆される。 また、CuOとマグネタイトの混合原料を用いた場合には、マグネタイト、ウスタイト、CuO、Cuの4物質が混合した複合ナノ粒子が得られており、複数の原料を上手く組み合わせることで、多様な構成材料から成るナノ複合粒子が合成可能であるという成果が得られた。さらに、この複合粒子においても、1kOeを超える大きな磁気交換バイアスが観測されており、ハード磁気材料としての可能性を示した。
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