2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08F08756
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
井上 弘一 Saitama University, 大学院・理工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MICHAEL Sukyong Chae 埼玉大学, 大学院・理工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ミトコンドリア / 短寿命 |
Research Abstract |
ミトコンドリアはエネルギー合成の場としてよく知られているだけでなく、細胞の生存にとっても本質的に重要である。ミトコンドリアの状態によって細胞の生存が左右され、ミトコンドリア不全は老化の過程に密接に関与するという報告も近年多くなっている。我々はミトコンドリアと老化の関係を明らかにするために、短寿命の形質を示すアカパンカビの突然変異株の解析を行なっている。その中の一つmus-10遺伝子は、F-boxタンパク質をコードし、SCF複合体を形成し,ユビキチンリガーゼE3として機能することが予想された。mus-10変異株は、菌糸内のミトコンドリアの断片化が認められるが、興味深いことに、この状態はミトコンドリアDNAの欠失に先立って観察される。 私はMUS-10タンパク質の機能を明らかにする為に、1)大腸菌においてHisタグを付加したMUS-10組換えタンパク質を発現し、これを抗原とした抗体生産、2)このタンパク質をアカパンカビの中で発現して、このタンパク質の細胞内局在および会合タンパク質の解明、3)このタンパク質に含まれるYccV様領域の機能を明らかにするための部位特異的突然変異導入、を試みている。また、mus-10変異株のミトコンドリアの異常な形態について、ミトコンドリアの融合と分裂の不全との関連を予想し、FLAGタグを付加したFIS-1、FZO-1タンパク質を発現することによって、MUS-10欠損状況下におけるミトコンドリア形状の変化の観察を試みている。以上、解析のための準備段階であるが、この解析を通じて、アカパンカビにおける老化・細胞死に対するMUS-10タンパク質の機能、ひいてはヒトの老化過程に対して新たな洞察を与えることが期待できる。
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