2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08F08762
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 正彦 Tohoku University, 多元物質科学研究所, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JONES Darryl Bruce 東北大学, 多元物質科学研究所, 外国人特別研究員
|
Keywords | 化学物理 / 原子・分子物理 / 電子線散乱 |
Research Abstract |
本研究の目的は、研究代表者らが初めて開発した「分子座標系の電子運動量分光」の検出感度の改善を図り、様々な直線分子の分子軌道の形を運動量空間において三次元観測し、量子化学理論が予測する波動関数形との比較を行うことである。これにより、運動量空間という従来とは反転した視点からの電子状態研究、いわば"運動量空間化学"を展開する。 上記の目的に向けて、本研究計画二年度目である今年度は、以下の3つの研究を推進した。 (1)新しく開発したチャンネル型イオン検出器システムの設置 (2)H_2O分子を対象とした電子衝撃一重イオン化(e,2e)および二重イオン化(e,3-1)実験 (3)N_2分子を対象とした分子座標系の電子運動量分光実験 (1)のチャンネル型イオン検出器システムは、前年度に詳細な荷電粒子シミュレーションによる設計に基づき、本研究で開発・整備したものである。一方、(2)の(e,2e)および(e,3-1)実験においては、基礎・応用の両面で重要な水分子を取り上げた。本研究は、(e,2e+M)実験の屈曲分子への展開、および二電子密度分布の3次元的な情報を直接的に与える(e,3e+M)実験への展開を図るための基礎研究の意味あいをもつ。また、本研究は、分子を標的とした(e,3e-1)実験の嚆矢でもある。(3)の分子座標系の電子運動量分光実験は、(1)によりシステムとして完成させた(e,2e+M)装置を用いるもので、統計は満足すべきものではないものの、N_2分子の電子運動量分布が等方的ではなく異方性をもつことを明確に示すなどの予備的結果を既に得ている。 以上のように、本研究計画は所期の目的の達成に向けて順調に進んでおり、さらなる成果を得るべく本計画終了予定の平成22年10月初旬まで研究を引き続き進める。
|
Research Products
(18 results)
-
-
-
-
[Presentation] 物質内電子運動の精密観測装置の開発2009
Author(s)
佐藤弘典, 山崎優一, Darryl Jones, 浅野佑策, 渡辺昇, Achim Czasch, Ottmar Jagutzki, Reinhard Doerner, 高橋正彦
Organizer
第9回東北大学多元物質科学研究所研究発表会
Place of Presentation
仙台
Year and Date
2009-12-10
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] 高感度2π型電子運動量分光装置の開発2009
Author(s)
佐藤弘典, 山崎優一, Jones Darryl, 浅野佑策, 渡辺昇, Czasch Achim, Jagutzki Ottmar, Doerner Reinhard, 高橋正彦
Organizer
平成21年度科学系協会東北大会物理化学コロキウム
Place of Presentation
郡山
Year and Date
2009-09-19
-
[Presentation] A highly-sensitive 2π electron momentum spectorometer2009
Author(s)
M.Yamazaki, H.Satoh, D.Jones, Y.Asano, N.Watanabe, A.Czasch, O.Jagutzki, R.Doemer, M.Takahashi
Organizer
International Symposium on(e, 2e), Double Photoionization and Related Topics
Place of Presentation
アメリカ、レキシントン
Year and Date
2009-07-30
-
-
-
[Presentation] Construction of a 2π(e, 2e)apparatus for advanced electron momenturn spectroscopy2009
Author(s)
M.Yamazaki, D.Jones, Y.Asano, N.Watanabe, A.Czasch, O.Jagutzki, R.Doerner, Mtakahashi
Organizer
XXVI International Conference on Photonic, Electonic, and Atomic Collisions
Place of Presentation
アメリカ、カラマズ
Year and Date
2009-07-22
-
-
-