2008 Fiscal Year Annual Research Report
広塩性魚のウナギの食道をモデルとしてイオン輸送機構を解明する
Project/Area Number |
08F08765
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹井 祥郎 The University of Tokyo, 海洋研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HEALY Jillian M. 東京大学, 海洋研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 海水適応 / 浸透圧調節器官 / 消化管 / イオン輸送 / Na、K、2Cl共輸送体 / ナトリウムチャネル / カリウムチャネル / メダカ |
Research Abstract |
本年度は、海水適応に最も重要な消化管の部位である腸の後部に着目して、そこで水の吸収を駆動しているNa,K、2Cl共輸送体(NKCC)を働かすために必要なKイオンの輸送体を同定した。海水にはNaイオンやKイオンと比較してKイオンの含量が極めて少ないため、腸管内から水をNKCCを介して吸収するためには、細胞内からKイオンを腸管内に分泌をするKチャネルがあるはずである。それを同定するために、全ゲノム配列が公表されているメダカを利用した。まず関係すると予想される全てのKチャネルをメダカゲノムから抽出し、それら遺伝子のうちからメダカの腸で発現しているものをRT-PCRで同定した。次にそれらのうち、淡水と比較して海水に適応したメダカの腸で発現が亢進しているものを選び出し、そのcDNAの全配列を決定した。今後はそれをゼノパス卵で発現させ、実際にKイオンを輸送しているか否かを調べる予定である。もしそれが確認できれば、そのタンパク質に対する抗体を作成し、腸の上皮細胞の管腔側にKチャネルが局在していることを確かめ、次に海水に移行した際の発現変化を継時的に調べる。それが終わったら、ウナギでそのKチャネルを同定し、in vivoやin vitroの実験系を使ってウナギにおける役割を明らかにする予定である。研究課題は食道に関する研究となっているが、同じ消化管の後部である腸の研究に主題をシフトしたが、2年間で研究を完成させることができるためである。
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