2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08F08774
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
前野 悦輝 京都大学, 理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PEETS Darren Campbell 京都大学, 理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 反転対称性の破れた超伝導 / ケイ化物 / ホウ素化物 / スピン三重項超伝導 / 交流磁化率 / 比熱 |
Research Abstract |
本研究の目的は、超伝導体の物質合成と結晶育成を軸に、新奇な超伝導状態の物性を明らかにすることである。平成22年度は引き続き主に次の二種類の、いずれも反転対称性を持たない結晶構造の超伝導体についての研究を進めた。その成果については学会発表以外に以下の招待セミナーでも発表した:トロント大学(カナダ、2010年4月28日)、マクマスター大学(カナダ、2010年4月30日)、マックス・プランク研究所(MPI-Stuttgart、ドイツ、2010年7月22日) 第一のテーマのシリコンを含む三元系化合物の超伝導体については、アーク熔解法での合成条件を最適化して良質試料を得て交流磁化率と比熱の測定を中心に詳しく調べた。反転対称性を破る結晶構造で超伝導が起きていることを明らかにしたが、磁化率、電気抵抗、比熱などの測定から上部臨界磁場を含む超伝導パラメターを決定したところ、特異な超伝導性は発現していないことを明らかにした。これらの結果をPhys. Rev.B誌で公表した。 第二のテーマの、Li_2(Pd_<1-x>Pt_x)_3Bではアーク熔解多結晶試料を岡山大学の共同研究者から入手し、比熱と交流磁化率の測定を行った。岡山大学のグループの先行研究により、Pt組成が0.8以上の領域で核磁気共鳴(NMR)実験からスピン三重項超伝導に移り変わると考えられるデータが得られている、本研究ではその際に起こる超伝導特性の変化を調べるために交流磁化率と比熱の測定から磁場-温度相図を構築した。その結果、上部臨界磁場は、Pt組成の大きな領域でも基本的に従来の軌道対破壊効果で説明できる程度の値にとどまることを明らかにした。超伝導の磁場-温度相図及び基本的超伝導パラメターをまとめた論文は投稿準備の最終段階にある。
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Research Products
(5 results)