2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規炭素-炭素結合反応の開発および、その全合成への応用
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08F08777
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福山 透 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BOLSHAN Yuri 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 全合成 / アルカロイド / 炭素炭素結合形成 |
Research Abstract |
本年度は昨年度に引き続き、モルヒネの合成研究およびタベルソニンの合成研究を行った。モルヒネの合成研究では、特にフェノール性水酸基を足がかりとした酸素官能基導入の検討および炭素-炭素結合形成反応の検討を行った。すなわちフェノール性水酸基を有する化合物の酸化的な脱芳香化を行い、生じる不飽和ケトンに対して分子内で炭素求核基を反応させ、炭素炭素結合形成を行うことを試みた。種々検討を行ったが、炭素炭素結合の形成には現在までのところ成功していない。タベルソニンは抗ガン剤として用いられているビンブラスチンの下部ユニットの合成原料となりうる重要な化合物である。擬対称な四級不斉炭素を有するユニットの合成が鍵となる逆合成を行い、まずラセミ体を用いた検討を行った。まず昨年度開発した方法の効率化を図り、基質を供給した。すなわち、マロン酸ジエチルを塩基性条件下ブテニル化したのちマイケル付加反応を用いてアクリル酸エステルと反応させることで、3炭素ユニットの導入を行った。すべてのエステルを還元した。1,3-ジオール部位をベンジリデンアセタールとして保護した後、残る一級水酸基を保護した。二重結合部位を酸化的に解裂したのち、カルボン酸へと酸化した。ベンジリデンアセタール部位を加水分解したところラクトン環が形成された。得られたラクトン体は、イソチオシアネートに付加することでチオアニリドへと変換し、さらにラジカル環化反応の条件に付すことでインドール骨格の構築が可能であると考えられる。
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