2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08F08778
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今野 宏 The University of Tokyo, 大学院・数理科学研究科, 准教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HAMILTON M.D. 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | シンプレクティック幾何学 / 幾何学的量子化 |
Research Abstract |
シンプレクティック多様体の幾何学的量子化において,実偏極による量子化と複素偏極による量子化という,全く異なる量子化の方法が,同じ結果を与えるという現象がさまざまな実例で知られている.本研究の目的は,この現象に概念的な理由を与えることである.複素偏極による量子化とは,シンプレクティック形式を第一チャーン類に持つ正則直線束の正則切断の空間のことである.一方,実偏極による量子化とは,シンプレクティック多様体のラグランジュトーラスによるファイブレーションを考え,ボーア・ゾンマーフェルトファイバーと呼ばれる有限個のファイバーを基底とするベクトル空間のことである.これらの2種類の偏極を関連付けるために,実偏極を複素偏極(=複素構造)の変形の極限として定式化することを考える.すなわち,正則切断の台がボーア・ゾンマーフェルトファイバーに収束するような複素構造の変形を構成するのである.このように,複素構造の退化を,代数幾何的にではなく,シンプレクティック幾何として定式化することが大きな目標である.グラスマン多様体,あるいはもっと一般に,旗多様体は,自然な複素構造だけでなく,ゲルファント・セトリン系と呼ばれる実偏極を持つことが知られている.本年度は,旗多様体上の複素構造の変形で,その極限として,ゲルファント・セトリン系を持つようなものの構成を試み,その有力な候補を構成することができた.研究は10月半ばから開始されたので,まだ証明は完成してはいないが,構成方法は極めて具体的なので正則切断の台の極限の解析が実行可能であることが期待される.
|
Research Products
(1 results)