2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08F08778
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今野 宏 The University of Tokyo, 大学院・数理科学研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HAMILTON M.D. 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 幾何学的量子化 / トーリック退化 / 実偏極 |
Research Abstract |
シンプレクティック多様体の幾何学的量子化において,実偏極による量子化と複素偏極による量子化という全く異なる量子化の方法が同じ結果を与える,という現象がさまざまな実例で知られている.本研究の目的は,この現象に概念的な理由を与えることである.仮に,前量子化直線束の正則切断が,複素偏極を実偏極に近づけてゆくと,ボーア・ゾンマーフェルト軌道と呼ばれるあるラグランジュ部分多様体に台を持つデルタ関数に収束してゆく,ということが成立すれば,この仮説は上記の現象の概念的な説明を与えることになる.トーリック多様体の場合には,Baierらによりこの仮説が正しいことが示されている. 今年度は,旗多様体の場合にこの仮説が正しいことをほぼ確かめることができた.アイディアは,旗多様体のシンプレクティック構造は固定しておいて,旗多様体をトーリック退化させたときの複素構造の変形と,Baierらのトーリック多様体の複素構造の変形を組み合わせたような,旗多様体の複素構造の変形を構成することである.Baierらはトーリック多様体の複素構造の変形を構成したが,我々の場合には,トーリック多様体のある部分多様体の複素構造の変形を構成することが必要となるために,Baierらの議論をさまざまな点において修正した.さらに,トーリック退化の議論をシンプレクティック幾何の枠組みにあてはまるように改良することも必要で,このような手続きを経て上記のような旗多様体の複素構造の変形を構成した.
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Research Products
(2 results)