2009 Fiscal Year Annual Research Report
肺炎球菌のマクロライド・ケトライド耐性機構ならびに伝播の遺伝学的背景の解明
Project/Area Number |
08F08791
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山本 友子 Chiba University, 大学院・薬学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HRADECKA Helena 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | テリスルマイシン / マクロライド / 肺炎球菌 / トランスポゾン / 薬剤耐性 |
Research Abstract |
肺炎球菌による呼吸器感染症にはマクロライド系抗菌薬が繁用されているが、近年耐性菌が増加している。この薬剤耐性菌に対する有効策としてケトライド系抗菌薬のテリスロマイシンTELが開発されたが、既に海外では高度耐性菌が報告されている。国内の肺炎球菌のTELに対する耐性化の現況を明らかにし、耐性機構の検討を行った。国内の医療機関より2006~2007年に分離された肺炎球菌について、TELに対する耐性を検討したところ、120株中7株が低感受性を示した。TEL低感受性化の要因としては、薬剤結合部位(23SrRNA)の変異や外来性耐性遺伝子が知られているが、それらがどの程度TEL低感受性化に寄与しているかは明らかにされていない。そこで3株のTEL低感受性株について、まず23SrRNAの変異の有無について検討した。その結果いくつかの変異が検出されたものの、TEL結合部位付近は野生株と同様の配列であった。次に外来性耐性遺伝子の有無について検討した結果、mefEとermB保有株が3株、mefE保有株が4株であった。TEL低感受性化におけるこれらの寄与を検討するため、mefE欠損株およびermB欠損株を構築し、それぞれのMICを測定した。その結果、両欠損株ともMICは二~三段階低下した。したがってmefEもermBもTEL低感受性化の要因であると考えられた。次に2重欠損株を構築し、両因子のTEL感受性低下への寄与を検討した。その結果、二重欠損株のMICは感受性株と同等まで低下した。したがって、mefEとermBの獲得がTEL低感受性化をもたらすと考えられた。又、mefE-ermBはTn2010に、mefEはTn2009により獲得されたと考えられた。
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