Research Abstract |
現在,日本は少子高齢社会であり,ロボット技術を用いたデバイスやサービスが,生活空間の中で役立つことが期待される.それらの機器の評価や,高齢者の生理指標の計測を目的として,平成20年度までに小型・軽量な人間計測センサシステムWB-3(Waseda Bioinstrumentation system-No.3)を開発し,医療手技の評価に使用できることを確認した。平成21年度は福祉分野に適応可能なヒューマノイド・ロボットの評価を目指し,研究を遂行した.少子高齢社会では,ロボットによる高齢者の日常生活支援サービス産業が興隆していくことが予想される.ロボットが人間と共に生活する場合,物理的および心理的に人間に好印象を与えなくてはならない.そんな中,全身での情動表出が可能な2足ヒューマノイド・ロボットKOBIANが開発されてきている.KOBIANは人間と物理的なインタラクションをする際に,人間に危害を与えることを防ぐため,構造部材がゴムや人肌ゲルといった軟素材でできた人間形ソフトハンドWSH-1R(Waseda Soft Hand-No.1 Refined)を持っている.しかし,このハンドは剛性が低く,腕を動かした際に指先が大きく振れるという問題があった.また,ハンドで物を掴んだり握手をしたりする際,剛性不足のために力を伝えられず,物を把持できないという問題もあった.そこで改良機WSH-1RIIを製作し,その評価の際にWB-3を使用した. 具体的には,WB-3を改良前後の両方のハンドの指先に固定し,ロボットが腕を振った際の指先の加速度や角度などのデータを取得した.評価実験の結果,改良したハンドのほうが振動の収束性が良く,指際のたわみ角度も小さいということが確認できた.WB-3を用いることで,福祉に適応可能な2足歩行ロボットのハンドの動的剛性解析を行うことに成功した.
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