2008 Fiscal Year Annual Research Report
カイコの生殖機能に関する遺伝学的・分子生物学的研究
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08F08805
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
嶋田 透 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宋 妍[セイ] 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | Ng mutant / colleterial gland / egg glue substance / linkage analysis |
Research Abstract |
カイコの雌成虫は、一対の粘液腺(卵巣付属腺)を持っており、産下する卵を下地に付着させるためのタンパク質性の膠着物質を分泌する。1998年に共同研究者の吉田勝彦博士は、膠着物質の一つであるDZCP-2をリシルエンドペピチダーゼで部分消化した断片について、部分アミノ酸配列を決定した。DZCP-2は、粘液腺の腺腔内に存在するタンパク質をSDS-PAGEで分画したときに最も多量に検出される成分であり、分子量250kdの大きなポリペプチドからなる。このアミノ酸配列をクエリーにしてカイコESTデータベースを検索したところ、5個のcDNAクローンが、このアミノ酸配列をコードしていることに気付いた。これら5個の塩基配列は相互に部分重複しており、一つの共通の遺伝子に由来するものであろうと想像された。この塩基配列をクエリーとしてカイコゲノムを検索したところ、第12染色体の一部nscaf2993に、それと完全一致する塩基配列が存在していた。その場所はキサンチン脱水素酵素遺伝子(oq)の座位から7.3Mb離れた場所である。 非膠着(Ng)は優性の突然変異であり、粘液腺の発達が悪くなり、膠着物質をほとんど分泌できない。Ng遺伝子は第12染色体の21.8cMの位置に占座することが知られている。この座位はoq座から4.5cMの位置に相当する。したがって、私たちはDZCP-2がNg形質の原因遺伝子ではないかと推定し、,p50T♀×[p50T×d90(Ng/Ng)]♂という戻し交雑によって連鎖解析を実行した。その結果、DZCP-2の遺伝子型と非膠着形質の間には組み換えが起きなかったので、この推定が指示された。
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Research Products
(1 results)