2009 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪組織幹細胞と高気圧酸素併用療法による褥瘡治療研究
Project/Area Number |
08F08806
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
百束 比古 Nippon Medical School, 大学院・医学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
王 陽 日本医科大学, 医学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 再生医学 / 脂肪組織幹細胞 / 高気圧酸素 / 褥瘡 / 難治性潰瘍 |
Research Abstract |
人口の高齢化に伴い発生頻度の増加している慢性創傷に対し、近年間葉系幹細胞(骨髄由来幹細胞、脂肪組織由来幹細胞など)を用いた皮膚皮下組織創傷治療の有用性が示唆され始めており、これまでの内科的、外科的手法では治療不可能であった慢性創傷に対する新たな細胞治療技術として期待されている。そこで本研究では難治性創傷の代表である褥瘡に対する細胞治療を最終目的に据え、それに先立ち平成21年度は予備実験として以下を実施した。 まず脂肪組織幹細胞の創傷治癒に及ぼす主要なメカニズムの一つである塩基性線維芽細胞増殖因子(以下bFGF)が幹細胞によって緩徐に発現されることを想定し、ゼラチンにより徐放化されたbFGFをラット虚血再還流障害皮弁モデルおよび遺伝的糖尿病マウス背部難治性潰瘍に種々の濃度で局所投与し、皮弁の障害域の改善の程度および難治性潰瘍の治療効果を肉眼的、組織学的に経時的に観察し検証した。 その結果、(1)虚血再還流障害皮弁モデルにおいては、徐放化bFGFにより濃度依存的に皮弁の障害域は改善し生着範囲の延長を認めた。また組織学的にも新生血管数の増加が有意に増加した。(2)遺伝的糖尿病マウス背部治性潰瘍モデルに対しては濃度依存的ではなかったが徐放化bFGF投与群において速やかな上皮化を誘導し、早期に潰瘍の縮小を認めた。現在組織学的に肉芽形成の程度や新生血管の定量、また局所に発現する各種増殖因子の確認をしている。 以上の結果より、同様の効果が脂肪組織幹細胞投与においても期待できることが間接的に示唆された。
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Research Products
(2 results)