2009 Fiscal Year Annual Research Report
フェルミ粒子分子動力学法による原子核多重破砕及び天体核物理学の研究
Project/Area Number |
08F08814
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
萩野 浩一 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HASNAOUI K.H. 東北大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 分子動力学 / 単極子振動 / 重イオン衝突 / 核物質の状態方程式 / 原子核多重破砕 / 中性子星 |
Research Abstract |
本研究の目的は,実験室での原子核反応で実現される核物質や超新星爆発などの天体現象において実現される核物質の動力学と熱力学を,核子をフェルミ粒子として正しく扱う分子動力学法(FMD,AMD)を用いて統一的に研究することである.とりわけ核物質や原子核の圧縮・膨張は,様々な密度の核物質の状態方程式と関連する重要な現象である.そこで,平成21年度は,原子核の圧縮・膨張の集団運動である単極子振動に集中して取り組んだ. 様々な振幅(ただし原子核が破砕しない範囲)の単極子振動を^<40>Caや^<12>Cの原子核についてAMDとFMDで計算した.固定した幅のガウス波束を用いるAMDでは,ある振幅で振動数が小さくなる場合があることがわかったが,その波束の幅に対応する基底状態の構造と関連しており,単極子振動に対するポテンシャルが二重井戸型となるためだと解釈できた.ただし,一フォノン励起程度の振幅になれば,ほとんどの場合振動数は振幅とともに緩やかに減少した.一方,波束の幅を動力学変数として扱うFMDでは,AMDでも見られた波束中心の運動による振動モードに加えて,波束幅の運動に関連する新たな振動モードが若干異なる振動数で現れることを見いだした. この単極子振動の研究はそれ自体も興味深いものではあるが,平成22年度に高密度状態・有限温度状態からの膨張と破砕反応を研究するための基盤となると考えている.
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Research Products
(4 results)