2009 Fiscal Year Annual Research Report
最終氷期以前の高精度古海洋復元に関する海洋堆積物を用いた研究
Project/Area Number |
08F08826
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
横山 祐典 The University of Tokyo, 海洋研究所, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
OBROCHTA Stephen 東京大学, 海洋研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 古気候 / 古海洋 / 掘削科学 |
Research Abstract |
今年度の研究では、現在および過去の気候変動、特に太平洋や低緯度の気候変動をコントロールするインドネシア通貨流の変遷を復元するため、チモール海で採取された深海堆積物コアの解析に着手した。特に過去の水塊構造を復元するうえで有効なのが、有孔虫の炭酸塩殻の化学分析であるため、浮遊性および底棲有孔虫の分取と詳細な記載を開始し、安定酸素炭素同位体比を質量分析装置にて測定する前処理段階まで終了した。一方、気候変動のスイッチとしての役割を果たす高緯度海域、すなわち北大西洋の深海堆積物に含まれる、過去の氷床融解シグナルについて、堆積学的に考察し、論文にまとめ、投稿にいたった。それによると、これまで考えられていたように、氷期に厚さ3kmと拡大していたアメリカ大陸のローレンタイド氷床と、スカンジナビア半島を中心に存在していたフェノスカンジア氷床の、ピリオディックな変動が、アイスコアに記録されている、突然かつ急激な気候変動のもたらしていたとされていたことを追認した。ただ最終氷期以降では、おもに北米のローレンタイド氷床の崩壊が、主な淡水ソースとしての役割を果たしていたとされてきたが、最終氷期以前においては、フェノスカンジア氷床の果たす役割が重要であるという初めての知見を得た。今後地球化学的分析等もさらにくわえることによって、より定量的な議論を展開できると考えている。
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