Research Abstract |
一般に普及している津波災害に対する地域の災害対応力を表す標準的な指標は存在していない.そこで本研究では,CCR-IOTEWS(Coastal Community Resilience-Indian Ocean Tsunami Early Warning System)を参照し,地域の災害対応力を表現するための一般指標の提案を試みる.提案する指標は,地域特性を十分考慮したもので,地域コミュニティ,行政機関さらに非政府機関(NGO)など,複数の関係者が容易に共有し利用できるものとしている.この指標は,1次データと2次データから構成され,1次データは現地調査により収集した.現地調査の対象地域として2地域を選定し,津波被害からの復興状況を評価した. 現地の状況把握のために2009年2月に岩手県田老町を訪れたが,本年度はインドネシアのチラチャップリージェンシーを対象とした調査・検討を中心に行った.具体的には,沿岸地域の津波対応力を決めるため,現地での観測とアンケート調査を実施した(2009年3月~4月).その結果,沿岸地域の津波対応力を示すために,8つの要素で構成された指標を決定した.これらの指標は,地域統制[Gov],社会経済・生活環境[SEL],沿岸資源運営[CRM],土地利用と構造設計[ER],危険知識[RK],警報と避難[WnE],応急対応[ER],そして災害復興[DR]の8つである.実際の観測結果に基づき8つの指標を評価した結果,全ての観測地域において,平均値が2以下を示し,基準に達してない結果となった. これらのチラチャップリージェンシーにおける調査結果を,2009年8月11日から12日にチラチャップで開催された会議「将来の津波被害を軽減するための津波研究結果の社会普及」で発表した.また研究論文を,2010年7月に、2年に1回の頻度で開催されるICCE(International Conference on Coastal Engineering)に投稿した. 今後の予定としては,チラチャップリージェンシーで取得したデータ分析と共に,これまでに用いた調査手法を使って,2010年4月から,岩手県田老町での現地調査とアンケート調査を実施する予定である.
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