Research Abstract |
「里海」とは,人と自然が共生する沿岸海域あり,人間の手で陸域と沿岸域が一体的・総合的に管理されることにより,物質循環機能が適切に維持され,高い生産性と生物多様性が達成されており,人々の暮らしや伝統文化と深く関わっている.石川県は,加賀海岸から能登半島まで,長い海岸線を有し,典型的な里山と里海が同時に存在している.石川県の里海地域では,海洋汚染は比較的少ないが,里山地域と同様に,過疎化と高齢化問題をかかえており,その再活性化は急務であるが困難である.本課題では,能登半島を中心とし,七尾湾の里海地域において,無機環境,生物多様性,地域住民による里海資源の利用について,(1)現状と問題点を明らかにし,(2)持続的利用にむけた提言を行うために、住民への聞き取り,野外調査をおこなった.その際,里山と里海の連環,住民による里海へふれあい方,管理形態に特に注目し,持続管理に向けた提言を目的とした.今回は,(1)能登半島の輪島市,珠洲市,穴水町,能登町、七尾市をたびたび訪問し,地域住民から,過去から現在にいたる里海の利用状況と現在の問題点について,聞き取りとアンケートを実施した.(2)里海問題をグローバルな視点から捉えるために,Millennium Ecosystem Assessment(ミレニアム生態系評価)等の国際的取組における「生態系保全」,「資源利用」,「伝統知識」等の概念を用いて問題を整理した.(3)七尾湾等において,Socio-Economic Monitoringを実施し、環境省の七尾湾佐藤海創生事業にも積極的に参加し、貢献した。
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