Research Abstract |
日本の「里山」は,農林業等の人手により形成されてきた農村生態系であり,「里海」は,漁業等により形成され,生産性も生物多様性も高くなった沿岸生態系である.どちらも「適切な管理により」長年にわたり維持されてきた「持続的システム」として,国際的にも注目を浴びている.同時に,「里山里海」の生態系サービスが注目されており,資源供給サービス,文化的サービス(ツーリズムを含むレクリエーション),物質循環サービスといった様々な要素を有している.しかし,近年,過疎・高齢化により,農村,漁村の疲弊は激しく,「限界集落」から「集落崩壊」へと向かいつつある「里山里海」が増加している.また,「里山里海」の生態系サービスについては,自然科学的な見地から一定の評価(ミレニアム生態系評価等)が進みつつあるが,その社会厚生・福利にとって不可欠な文化的サービス機能の解析と,社会経済学的評価は不十分といわざるを得ない.石川県内には生態系サービスの研究フィールドとして注目されている里山里海が数多くある。本研究では,それらを対象として,生態学・環境経済学・農業経済学・観光学等の分野を中心として、里山里海とその生態系サービス(特にツーリズムを含む文化サービス),エコツーリズム,グリーンツーリズムに関する先行研究・文献について渉猟し,歴史的経緯,背景を整理した。石川県能登半島の能登町、珠洲市等を中心に,属性の異なる里山里海地域を選定し,エコツーリズムのヒアリング,アンケートを実施、実態と問題点を把握した。能登半島の地域住民の里山里海のイメージ,認知度に関するアンケート調査実施とデータ解析を開始し,成果を上げつつある。
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