2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J00053
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
角川 学士 The University of Tokyo, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | インフルエンザウイルス / RNAポリメラーゼ / 宿主タンパク質の探索 |
Research Abstract |
インフルエンザウイルス病原性メカニズムを明らかにするため、インフルエンザウイルスが持つ特有のRNAポリメラーゼに着目し、RNAポリメラーゼによるRNA合成に関与する宿主のタンパク質同定・解析を目的とした。インフルエンザウイルスのRNAポリメラーゼによる遺伝子発現に影響を与える宿主タンパク質を探索するため、スクリーニング系を構築した。ウイルス遺伝子をリポーター遺伝子に置き換えその発現を指標とし、宿主タンパク質の探索を行った。この系を用いて二つの宿主タンパク質、Ribosomal protein S6 kinase alpha 3(RSK2)とRuvB-like 2(RBL2)を同定した。 (1)RSKK2;RNA遺伝子発現を上昇させるものとしてRSK2(N末が欠損したもの)を同定した。ウイルスポリメラーゼによるリポーター遺伝子発現は、ヒトRSK2ノックダウン細胞において上昇したことから、N末欠損したRSK2は、細胞内在するRSK2に対しドミナントネガティブに働いた可能性が示唆され、RSK2はウイルス遺伝子発現を抑制していることが示唆された。RSK2ノックダウウン細胞においてA型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、センダイウイルスの増殖効率が上昇した。またRSK2ノックダウン細胞において、NF-κB活性化JFN-βプロモーター活性化、PKR活性化が減少していることを確認した。このことからRSK2が自然免疫系に関与していることが示唆された。 (2)RBL2;RNA遺伝子発現を上昇させるものとしてRuvB-like 2(N末が欠損したもの)を同定した。RuvB-like 2の全長をクローニングし過剰発現させた細胞においてウイルスのRNA合成ならびにウイルスの増殖が抑制された。 以上、本研究においてインフルエンザウイルス増殖に関わる宿主タンパク質探索の系を開発し、ウイルス増殖を阻害する二つの宿主タンパク質を同定した。本研究は、ウイルス増殖を抑制する宿主抗ウイルス応答の解明に重要な貢献をなすと考えられる。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Mutational analysis of conserved amino acids in the influenza A virus nucleoprotein2009
Author(s)
Li Z, Watanabe T, Hatta M, Watanabe S, Nanbo A, Ozawa M, Kakugawa S, Shimojima M, Yamada S, Neumann G, Kawaoka Y
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Journal Title
Journal of Virology 83
Pages: 4153-4162
Peer Reviewed
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