2008 Fiscal Year Annual Research Report
植物による病原糸状菌細胞壁関連分子パターンの認識と防御応答機構の分子基盤
Project/Area Number |
08J00058
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
田中 茂幸 Kyoto Prefectural University, 生命環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ウリ類炭疽病菌 / 基礎的抵抗性 / MAPKカスケード |
Research Abstract |
植物病原糸状菌であるウリ類炭疽病菌において単離した病原性変異株ssd1破壊株は、宿主植物のMAPKカスケード(MEK2-SIPK/WIPK)を介した基礎的抵抗性により感染が抑制され、また宿主植物に接種した場合SIPK/WIPKが野生株より強く誘導されることを明らかにしている。今回、熱殺菌したssd1破壊株胞子を植物葉に注入した場合ssd1破壊株胞子は野生株より強くSIPK/WIPKを誘導し、またこの活性誘導因子は非タンパク質性であることを明らかにした。これは、ssd1破壊株の綿胞表層構造がSIPK/WIPKを誘導する形で変化していることを示しており、その活性誘導因子は細胞壁の構成糖鎖であることを示唆している。そこで、細胞壁を構成する糖鎖成分について高速液体クロマトグラフィーを用いて量的に解析した。すなわち、細胞壁を希硫酸処理し構成糖鎖を単糖にまで分解した後、マンナン,グルカン,キチンの構成単糖であるマンノース,グルコース,N-アセチルグルコサミンの抽出量を調べた。しかし、野生株とssd1破壊株間において顕著な差は認められなかった。一方、細胞壁構成糖鎖であるβ-グルカンに着目しこれを抽出して解析したところ、野生株と破壊株間でピークの違いが見られた。これらのことから、破壊株細胞壁に含まれる構成糖鎖の量的な変化ではなく質的な変化がSIPK/WIPKの活性を誘導していることが示唆された。
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Research Products
(2 results)