2008 Fiscal Year Annual Research Report
実験腫瘍モデルマウスを用いた新規HIF阻害剤2-オキソグルタル酸の抗腫瘍効果検討
Project/Area Number |
08J00067
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松本 健 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 2-オキソグルタル酸 / HIF / VEGF / 血管新生 / 癌 |
Research Abstract |
腫瘍血管新生は、固形腫瘍内部でのHIF(hypoxia inducible factor)の発現増加とそれに伴うVEGF(vascular endothelial growth factor)の転写誘導の上昇により引き起こされる。本研究の目的は、マウスin vivoモデルを用いて、新規HIF阻害剤である2-オキソグルタル酸(2-OX)の腫瘍の発育に対する効果を検討することである。 1.血管誘導能および腫瘍発育に対する2-OX単独投与の効果検討 (1)マウス背部皮下法を用いて、腫瘍の血管誘導能に対する2-OX投与の効果を、誘導血管量の差異を比較した。その結果、2-OXはin vivoにおいて、腫瘍の血管誘導能の抑制効果を示すことが確認された。 (2)マウス肺癌由来腫瘍細胞移植モデルマウスを用いて、腫瘍発育に対する2-OX腹腔内投与の効果を検討した。その結果、2-OX腹腔内投与は腫瘍の発育を抑制することが確認された。また、このモデルにおける腫瘍内血管新生は、2-OX投与により、減少効果を示すことも認められ、これは2-OX投与によるVEGF発現抑制によるものと考えられた。 2.腫瘍発育に対する2-OXと抗癌剤併用投与の効果検討 マウス肺癌由来腫瘍細胞移植モデルマウスを用いた検討において、2-OXは既存の抗癌剤である5-FUとの併用により相乗の腫瘍発育抑制効果を示すことが確認された。また、腫瘍内におけるVEGF発現は、2-OXと5-FU併用投与により有意に抑制される結果を得た。 腫瘍血管新生および発育に対する2-OXの効果を検討することは、HIF活性制御の有用性を証明することに繋がる。これらの結果は、国際誌に投稿しており、現在、返答に従い、追加実験を行っている。
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Research Products
(3 results)