2009 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ流体技術による初期胚内ノード流計測制御システム開発と非対称性解明への応用
Project/Area Number |
08J00069
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
篠原 恭介 Osaka University, 大学院・生命機能研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | ノード繊毛 / 協同性 / Particle Image Velocimetry |
Research Abstract |
ヒトに最も近いモデル生物であるマウス胎生期個体において受精後7日後から8日後にかけて胚の正中線上にあるオーガナイザー(ノード)内で体の左右が決定される。ノード内の有毛細胞が持つ微小管の束である繊毛が回転運動することによりノード流と呼ばれる左向きの流れが発生し非対称な遺伝子発現を誘導すると考えられている。本研究課題ではノード流の発生機構を繊毛の回転運動の協同性と流れの定量解析から明らかにする。今年度は繊毛の回転する流れの関係性を実験的に調べるため (1)人工フローチャンバーによる流れの摂動実験を行った。ノード内で将来の体の右側から左側へ流れるノード流に対し、人工的な流れをかけ繊毛運動の協同性への影響を調べた。結果、左向きに流れをかけた場合と右向きに流れをかけた場合は流れをかけない場合に比べて、協同性が両者ともに減少することが分かった。この事はノード全体にかかる左向きへの一方向な流れは繊毛運動の協同性に対して負に制御するという事を示唆する。 (2)レーザーアブレーション法による繊毛運動の摂動実験を行った。隣り合う近距離の繊毛同士の相互作用の有無を調べるため、レーザーを単一の繊毛に照射し運動を止めることにより周辺の繊毛運動に与える影響を調べた。結果、繊毛が消失した直後に周辺の繊毛回転の位相も変化、すなわち隣接する繊毛の周波数が減少した。この事はノード繊毛は近距離で相互作用をもち回転位相の引き込みが存在する事を示唆する。位相の変動は数十ミリ秒という早い応答を示すことから、この相互作用の実体は流体力学的な要素である可能性が強いといえる。 今後、上記2つの実験結果を数理モデルシミュレーションを併用する事で再現し、いかにして繊毛は協同性を利用して効率良く物質輸送をおこなっているかを解明していく予定である。
|
Research Products
(2 results)