2008 Fiscal Year Annual Research Report
強力かつ選択的なプロテアソーム阻害活性を有するラクタシスチンの合成研究
Project/Area Number |
08J00070
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 信裕 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | サリノスポラミドA / 全合成 / プロテアソーム / ベータラクトン |
Research Abstract |
ラクタシスチンとサリノスポラミドAは、異なる種類の放線菌から単離された天然物である。サリノスポラミドAとラクタシスチンは類似の構造を有しており、いずれも同様の機構によって20Sプロテアソームを選択的に阻害することが知られている。特に、サリノスポラミドAはラクタシスチンに比べて極めて強力な生理活性を有していることから、抗がん剤として臨床への適用が期待されている。さらに、サリノスポラミドAは構造的にも、ラクタシスチンと共通のガンマラクタム骨格に加え、ベータラクトンおよびシクロヘキセニル基を含む極めて特徴的な構造を有しているため、合成化学的に非常に興味深い化合物であり、これまでに多くの合成研究が行われている。我々は、この化合物のより効率的な合成経路を確立すべく研究に着手した。 まず、容易に入手可能である、(S)-ヒドロキシ酪酸メチルを出発原料として合成を行った。サリノスポラミドAの合成においては、連続する不斉点をいかに構築するかが鍵となる。我々はこれまでに、出発物質から19工程を経て、官能基を立体選択的に導入しつつガンマラクタム部位とべータラクトン部位を構築することに成功した。今後は、シクロヘキセニル基の導入を経て、サリノスポラミドAの全合成を達成する予定である。 我々の合成経路は、これまでに報告されているいずれの全合成例よりも効率的であり、サリノスポラミドAの大量供給を可能にするものであると考えている。
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Research Products
(2 results)