2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J00077
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中村 友美 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ムスカリン作働性M3アセチルコリン受容体 / シェーグレン症候群 / モノクローナル抗体 |
Research Abstract |
M3Rは4つの細胞外領域を有する受容体であり、唾液・涙液分泌に関与する。口腔および眼における乾燥症状を主体とするシェーグレン症候群患者血清中には、4つの細胞外領域に対する自己抗体が認められており、特に第二細胞外領域に対する自己抗体は細胞内シグナル抑制的な機能を有することを示した。他の自己抗体の存在および抗M3R抗体自体の量的な影響を除外できないため、M3R特異的なモノクローナル抗体を作製と機能解析を検討した。まず最初に、生物活性の中心である第二細胞外領域25mer(M3R_<25>)に対するモノクローナル抗体作製より着手した。 M3R_<25>の合成ペプチドと等量のCFAで作製したエマルジョンを6週齢のC57BL/6マウスに2週間毎計3回免疫後、脾臓とマウスミエローマ細胞株を細胞融合し、HAT選択培地でコロニーのピックアップを行った。ELISA法にてスクリーニングし、M3R_<25>特異的なハイブリドーマのみを大量培養し、培養上清から抗M3R_<25>モノクローナル抗体を精製した。細胞融合は2回行い、4つのクローンを得ることができた。抗体のアイソタイプはいずれもlgG2b・Kであった。このモノクローナル抗体は、ウエスタンブロット法にてヒトリコンビナントM3R蛋白(hrM3R)と結合した。さらに、機能解析の実験として4種類のモノクローナル抗体をHSG細胞と12時間共培養させた後、M3R特異的アゴニストである塩酸セビメリンを添加したときの細胞内カルシウム濃度を蛍光プレートリーダーで測定したところ、すべての抗M3R_<25>モノクローナル抗体において細胞内シグナルを抑制する傾向が認められた。また、4クローンのV領域(CDR3)におけるアミノ酸配列のシークエンスを行ったところ、4クローンのうち3クローンは同一クローンであり、2種類のハイブリドーマ細胞を得たことがわかった。 以上のことから、M3R_<25>モノクローナル抗体は、唾液腺組織において唾液分泌を抑制する可能性が考えられた。現在、残り3つの細胞外領域(N末端、第一、第三)に対するモノクローナル抗体の作製をよび機能解析を検討中である。
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