2008 Fiscal Year Annual Research Report
シロイヌナズナにおけるRNAサイレンシングに関与する新規因子の探索
Project/Area Number |
08J00110
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田上 優子 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | シロイヌナズナ / 植物 / RNAサイレンシング / マイクロRNA |
Research Abstract |
hyl1-2種子をEMS変異原処理し、約38,000個のM2芽生えから表現型が野生型様に復帰した22個体を単離し、そのうち1個体について解析を進めた。マップベースクローニング法によって原因遺伝子は1番染色体の上腕端440kb以内に存在することを見出した。この領域にはHYL1に結合してmiRNAの生成を担うDCL1が存在することから、DCL1コード領域周辺のゲノム配列を確認した結果、DCL1遺伝子の1183番目のグアニンがアデニンに置換していた。得られたhyl1サプレッサーはいずれも同じ変異を有していた。この変異を持つDCL1遺伝子をhyl1変異体に形質転換すると表現型が野生型様に復帰したことから、hyl1サプレッサーの原因であることが証明された。この変異(dcl1-13)はDCL1のRNAヘリカーゼドメインにアミノ酸置換を生じるミスセンス変異であった。次にdol1-13変異がどのようにhyl1変異を抑圧したのか知るために、hyl1サプレッサーにおけるmiRNAの蓄積量を調べたところ、hyl1変異体に比べ半優性にmiRNAの蓄積量は増加した。さらにdel1-13変異の特徴を知るため、hyl1サプレッサーからhyl1変異を除いたdel1-13変異体を作成しmiRNAの蓄積量を調べたところ、野生型に比べ減少していた。つまりdel1-13変異はHYL1が無いときにはmiRNAの生成を促進するが、HYL1があるときには逆に減少させる効果があるという興味深い結果が得られた。以上の結果から、これまで機能未知であったDCL1のヘリカーゼドメインとHYL1との機能的な関連が示唆された。
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Research Products
(4 results)