2009 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病及びその合併症におけるSPARCの役割と病態メカニズムの解明
Project/Area Number |
08J00137
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
渡邉 和寿 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 増殖糖尿病網膜症 / Oligo-cap SST / SPARC |
Research Abstract |
【背景・目的】網膜症の発症・進展には血管内皮増殖因子(VEGF)をはじめとした様々な分泌タンパク質が関わると考えられており、これらのネットワークを解明することは糖尿病網膜症の診断・治療を考える上で重要である。そこで我々は、Oligo-cap SST法により、糖尿病網膜症の病変において実際に発現している分泌タンパク質及び膜タンパク質遺伝子の単離・同定を行った。【方法】当研究室で改良を加えたOligo-cap SST法により増殖糖尿病網膜症の手術検体から得られる増殖組織よりcDNAライブラリーを作成し、糖尿病網膜症と関連する分泌タンパク質及び膜タンパク質遺伝子の単離・同定を行い、さらに同定したクローンについて解析を行った。【結果】増殖組織からOligo-cap SST法によりcDNA断片を回収した結果、高頻度でSPARC遺伝子がクローニングされた。増殖組織において、SPARCが高発現していることが示唆されたことから、各種眼疾患の硝子体手術より得られる硝子体中のSPARCタンパク濃度をELISA法により測定を行った。その結果、増殖糖尿病網膜症は、非糖尿病の黄斑円孔に比べ、硝子体中のSPARCタンパク濃度が有意に高く、血管新生や増殖組織が存在する疾患においても硝子体中のSPARCタンパク濃度が高いことが示唆された。さらに、SPARCが増殖糖尿病網膜症の発症に直接関与しているかを検討するためにSPARCアデノウイルスを作製し、ラット網膜にSPARCを過剰発現させたところ、網膜において増殖糖尿病網膜症に類似した病変が観察された。【考察】SPARCは、増殖糖尿病網膜症における増殖組織の発症・進展に関与している重要な因子であることが示唆され、今後、増殖糖尿病網膜症の診断・治療における新たな標的となることが期待される。
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Research Products
(2 results)