2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J00138
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐藤 潤一 Kyushu University, 大学院・数理学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 離散不動点定理 / 非協力ゲーム / 純戦略Nash均衡 |
Research Abstract |
2008年度の研究は、離散不動点定理の構成と、非協力ゲームにおける純戦略Nash均衡の存在に関するものであった。 既存の離散不動点定理として、完備東上のもの、整凸集合上のもの、ブール代数上のものなどがあるが、どれも非協力ゲームに応用する観点からは、道具立てとして不十分である。そこで、まず新たな離散不動点定理として、集合値写像の単調性に基づくものを構成した。この離散不動点定理は、凸性を必要としない特長をもつ。これは、連続系においては不動点の存在には凸性が重要であったことと合わせると、連続系と離散系の大きな違いのひとつを抽出しているといえる。次に、この離散不動点定理の応用として純戦略Nash均衡をもつゲームのクラスを定義するとともに、具体例として純戦略Nash均衡をもつ行列ゲームを提示した。この結果により、ゲームが純戦略Nash均衡をもつための十分条件として、各プレイヤーの最適応答の単調性が重要な仮定であることが明らかになった。 上記の結果を受け、純戦略Nash均衡の存在を保証するために仮定した、最適応答の単調性は本質的な仮定であるのかという、新たな疑問が生じる。そこで、まず上記の十分条件を弱め、より広いクラスのゲームに対し純戦略Nash均衡の存在を保証し、その拡張されたクラスが2人ゲームにおいては必要条件にもなることを示した。さらに、3人以上のゲームについては、この拡張したゲームのクラスにも属さず、かつ純戦略Nash均衡が存在する例を提示した。混合戦略を用いた場合のNash均衡の存在を議論する上では、プレイヤーの人数は非依存であったことを合わせると、本年度の研究において純戦略Nash均衡の存在については、人数依存性があるという新しい性質を与えたといえる。
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Research Products
(8 results)