2009 Fiscal Year Annual Research Report
高機能電子プローブを用いた走査型透過電子顕微鏡による界面解析
Project/Area Number |
08J00145
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
治田 充貴 Kyoto University, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 走査型透過電子顕微鏡 / 電子エネルギー損失分光法 / HAADF |
Research Abstract |
走査型透過電子顕微鏡(STEM)と電子エネルギー損失分光法(EELS)を組み合わせることで構造と同時に、電子プローブ位置に対応した場所でのスペクトルを原子カラム分解能で知ることが可能である。しかし、これまでバルク領域とは異なるスペクトル構造を見出すことや、不純物元素の検出は可能でも、非周期的な構造に由来する理論計算の困難さから、スペクトルの微細構造の解釈法にはまだ多くの課題が残されている。本研究では、層状ダブルペロブスカイト構造のLa2CuSnO6結晶のような層状結晶の場合、STEM像中でCuとSnサイトを投影面内で分離して観察することが可能であるため、電子プローブを各CuとSnサイトに置いた場合で酸素のK殻励起EELSの違いを観測した。このような結晶学的に非等価な同種元素の電子状態の違いを各サイト分解して測定しようとする試みは『サイト分解EELS法』と呼び、原子分解能での電子状態のマッピングの実現に向けた基礎研究であると位置づけられる。酸素のK-edge取得に際して電子ビームを金属原子サイト上に置くことでその強いクーロンポテンシャルにより波動関数を空間的に局在化させると同時に、非局在性因子を利用し周りの酸素を励起させることで、Cu2+O6八面体のヤーン・テラー歪みに起因する酸素の電子状態の違いを検出し、Cu2+のd軌道に存在する1つの正孔の空間的な対称性を明らかにした。本研究は正確なバンド計算の可能なLa2CuSnO6単結晶を積層界面(CuO6/SnO6)構造の集合体とみなしサイト分解EELS法を適用しており、界面研究への展開が期待される。
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Research Products
(8 results)