2008 Fiscal Year Annual Research Report
多国籍アグリビジネスの事業展開と企業の社会的責任(CSR)に関する実証的研究
Project/Area Number |
08J00146
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
関根 佳恵 Kyoto University, 経済学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 多国籍アグリビジネス / 企業の社会的責任 / CSR / 品質 / 規格認証制度 / 日本 / フランス / グローバリゼーション |
Research Abstract |
本研究の目的は、グローバル化時代の農業生産資本の国際間移動および今日の世界農業食料市場のあり方を大きく規定している農産物の品質管理に関する規制が地域農業におよぼす影響について、日仏両国の事例を分析しながら明らかにすることである。なお、本研究における「品質」の概念は、農産物の形状や安全性等のみを評価する狭義の「品質」ではなく、環境保護や労働者の権利等に対する配慮も社会的品質として評価する広義の「品質」概念であるため、品質管理における企業の社会的責任の評価が重要になる。 本年度は、日本およびフランスにおいて、多国籍アグリビジネスを含む複数の農業生産・流通に関わる複数のアクターの調査を実施した。まず、日本では、すでに調査を実施した多国籍アグリビジネスのドール・ジャパン社との比較のため、品質管理において同社とは異なるビジネス・モデルを有するふたつの農業協同組合を、フランスでは、ドール・フランス社と、同社とは異なる品質管理戦略を展開する農業協同組合、卸売業者および生産者を訪ね、インタビューを行っている。その結果、日本とフランスでは、同じグローバル化の時代にあっても、多国籍アグリビジネスの活動による影響の現れ方が異なることや、品質管理をめぐる諸アクターの対応や構造が大きく異なっていることが明らかになった。 また、5月には、第3回国際フェアトレード・シンポジウムにおいて、2007年度の日仏研究交流および博士研究の成果を報告し、ペーパー化した。多国籍アグリビジネスのCSR活動と農産物や食品の規格化に関する問題を取り扱っており、博士論文の基本的視座を提示するものである。また、昨年度までに投稿していた和文論文も、雑誌『農業問題研究』に掲載されている。 以上の結果を踏まえつつ、さらに分析を行い博士論文としてまとめたい。
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Research Products
(6 results)