2008 Fiscal Year Annual Research Report
真核生物の細胞内膜における機械受容の役割と機構の解明
Project/Area Number |
08J00164
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中山 義敬 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 機械受容チャネル / 生物物理 / 大腸菌 / クラミドモナス / パッチクランプ法 / 電気生理学 / 細胞内機械受容 |
Research Abstract |
真核生物における原核生物型機械受容チャネルMscSの生理機能を明らかにするためには遺伝子欠損株を作成することが不可欠である。これまでの研究によってChlamydomonas reinhardtiiは原核生物型の機械受容チャネルMscSのホモログを3つ(MSC1,MSC2,MSC3)持っており、3つのMscSホモログの内、大腸菌のMscSと最も相同性が高いMSC1は細胞内で働く機械受容チャネルであることが分かっている。MSC1のRNAiノックダウン株を作成したところ、顕著な表現型は観察されなかった。これは残りの2つのMscSホモログが機能を相補していることが原因と考えられる。そこで本年度はChlamydomonas reinhardtiiの残り2つのMscSホモログの解析を行った。 MSC3をクローニングし、機械受容チャネルとして機能するのかを確かめるためにMSC1と同様に大腸菌にMSC3を発現させて、パッチクランプ法によって機械受容応答を調べた。その結果、MSC3は大腸菌の膜上で機械刺激に応じて電流を発生させた。興味深いことにMSC3は2種類の異なった機械受容応答を示した。この結果はMSC3がN末端に持つシグナル配列によるものと考えられる。MSC3がシグナル配列を持つことはMSC3が細胞内膜系で機能する可能性を示唆している。 抗体を作成し、間接蛍光抗体法でMSC3のクラミドモナスの細胞中での局在を調べた。その結果、MSC3も細胞内に核とピレノイドを避けるようにして多数のドット状にシグナルが観察された。葉緑体の自家蛍光と重なる部分も観察されたことからMSC3も葉緑体での機能が推測される。この結果はMSC3が細胞内で機能することを示すと同時に、MSC1の機能をMSC3が相補している可能性を強く示唆する。
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Research Products
(3 results)