2009 Fiscal Year Annual Research Report
真核生物の細胞内膜における機械受容の役割と機構の解明
Project/Area Number |
08J00164
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
中山 義敬 Tokyo Gakugei University, 教育学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 機械受容チャネル / 分裂酵母 / 細胞内膜 / パッチクランプ / 浸透圧ストレス応答 / 小胞体 / 大腸菌 / MscS |
Research Abstract |
機械受容チャネルは生物が音、重力、浸透圧などの物理的な力を感知するために重要な役割を担うセンサー分子である。大腸菌のMscSは低浸透圧ショックによる細胞の膨張を感知し、細胞が破裂するのを防ぐ。近年、MscSホモログが原核生物のみならず、真核生物のゲノムからも見つかりその機能が注目されている。シロイヌナズナ、クラミドモナスのMscSホモログの解析から驚くべき事に従来の細胞膜上で機能する機械受容チャネルとは異なり、真核生物のMscSホモログは細胞内膜で機械受容チャネルとして機能している事が明らかになった。しかし、何のために細胞内膜で力を感知しているのかという肝心な疑問が残されている。 真核生物のMscSホモログを解析する上で遺伝子操作が容易で表現型の解析を行いやすい分裂酵母に着目した。分裂酵母のゲノム上から2つのMscSホモログを見つけ、cDNAライブラリからクローニングした。MscSホモログを大腸菌に発現させ、吸引によって膜に機械刺激を与えた時の電流をパッチクランプ法によって計測した。その結果、大腸菌の内在性の機械受容チャネルとは異なる電流を計測した。この結果から分裂酵母のMscSホモログも機械受容チャネルとして機能する事が明らかになった。 分裂酵母のMscSホモログのC末端にGFPを結合させ、細胞内での局在を調べた。その結果、分裂酵母のMscSホモログは明らかに細胞の核周辺の細胞内領域に局在していた。 以上の結果より、分裂酵母のMscSホモログは細胞内機械受容チャネルとして機能する事が証明された。今後は、2つのMscSホモログの遺伝子破壊株の解析を行う事で細胞内での機械受容の意義を解明する。
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Research Products
(1 results)