2008 Fiscal Year Annual Research Report
重力環境変化に対する生体適応:将来月面基地で生活するために
Project/Area Number |
08J00200
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
安部 力 Gifu University, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 前庭系 / 動脈血圧 / 可塑性 / 前庭破壊 / GVS / 酔い / 過重力 / 直線加速 |
Research Abstract |
過重力環境下飼育によって引き起こされる前庭-動脈血圧反射の予防法の模索 我々の仮説は「前庭系への入力が減少することにより前庭-動脈血圧反射の可塑性が起こり,起立時の前庭-動脈血圧反射による血圧維持が困難になり,起立性低血圧が起こる」である。過重力環境下では前庭系へのstaticな入力は増加するが,phasicな入力は低下する。このphasic入力低下によって前庭-動脈血圧反射の可塑が生じている可能性が考えられる。そこで,この前庭系へのphasicな入力低下を電気的に補って,ラットを3G環境下で飼育し,その後前庭-動脈血圧応答を測定した。電気刺激を行わないで3G環境下で飼育したラットは前庭-動脈血圧応答が1Gラットに比べて有意に低下したのに対し,電気刺激を行いながら3G環境下で飼育したラットは1Gラットと有意な差は見られなくなった。このことから,前庭-動脈血圧反射の可塑に対して電気刺激が有効であることが示唆された。 過重力環境下飼育ラットの代謝変化 過重力(3G)環境下でラットを飼育すると体重が減少する。過重力曝露は酔いを引き起こし,それには前庭系が関与していると考えられている。そこで,今回我々は前庭系を破壊したラットを過重力環境下で飼育し,2週間の体重,摂食量,飲水量,活動量を測定した。前庭系を破壊したラットでは,前庭系が正常なラットに比べ体重,摂食量および飲水量が有意に大きくなった。このことから,前庭系が過重力環境下の代謝に影響を与えていることが考えられ,酔いを中心にさらに研究を行っていく必要がある。
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