2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J00230
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三井 雄太 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 間隙流体 / 地震サイクル / 摩擦発熱 / 断層ガウジ / 震源核生成 / 数値実験 |
Research Abstract |
本年度は、まず昨年度に引き続いて、シンプルな1自由度モデルを用いた、間隙流体圧の状態変化が地震サイクルに与える力学的な作用を数値実験によって調べた。特に、地震時の加速すべりに伴う断層ガウジ内の間隙率増大が、摩擦発熱に伴う流体圧膨張を打ち消す効果に着目した。その結果、間隙率増大の摩擦発熱に対するカウンター効果は、exp(-ζ(w/why))という関数形で近似的に記述できることがわかった。ここで、ζはローカルな摩擦パラメータなどに依存する定数、wは摩擦発熱/間隙率増大の起こる断層ガウジの幅、whyは流体拡散の固有距離である。このことは、従来「摩擦発熱が有効に働く条件」とされていた流体の低透水性は、whyが小さいために間隙率増大のカウンター効果がより卓越し、逆に摩擦発熱が抑え込まれる条件であることを意味する。この成果は、査読付海外誌Geophysical Research Lettersに受理され、出版された。また、これとは別に、従来の研究と同様に一定の流体圧を仮定した場合に、3次元弾性体中の平面断層上で地震間におこる断層端からのクリープ伝播(震源核生成の初期段階)のパラメータ依存性について、数値実験によって調べた。この場合、摩擦構成則の中の状態発展則への依存も見られるが、断層形状が円形の場合は一つの無次元パラメータを用いてクリープ伝播の模様が近似的に記述できることが示された。この成果は、査読付海外誌Journal of Geophysical Researchに受理された。
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