2009 Fiscal Year Annual Research Report
原子間力顕微鏡を用いた溶液中生体分子の物性マッピング手法の開発
Project/Area Number |
08J00246
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小林 成貴 Osaka University, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 原子間力顕微鏡 / ナノバイオサイエンス / Qコントロール法 / バイオイメージング |
Research Abstract |
個々のタンパク質が機能している状態の構造や物性を直接観察することは、タンパク質の動作メカニズムを解明するために極めて重要である。本研究の目的は、溶液中かつナノ分解能で観察できる原子間力顕微鏡を用いて、生体分子の電位分布を観察する技術を開発することである。具体的には、半導体探針先端に光照射することで光起電力を誘起し、試料表面の局所電荷との静電的相互作用力を直接検出できるかどうか検討する。前年度、光起電力を利用した探針-試料間静電的相互作用力は微小な信号として表れている可能性があることがわかった。そこで今年度は、溶液中原子間力顕微鏡の力検出感度の高感度化のために、前年度、理論的には有効であることを示したQ値を実効的に増大できるQコントロール法による位相変調方式原子間力顕微鏡の力検出感度に対する効果について実験的に評価した。まず、カンチレバーの変位信号から測定した位相ノイズ密度スペクトルから位相ノイズを求め、位相ノイズから見積った検出可能な最小の相互作用力の実効的なQ値依存性を調べた。その実験結果は理論と一致しており、理論の正当性が示された。さらに、Q値を高めることによって力検出感度が従来の原子間力顕微鏡の限界を超える可能性もあることも示された。また、Q値を1桁以上向上させることにより、カルサイト(CaCO_3)の液中高感度原子分解能イメージングを実現した。今後、この高感度力検出法を用いて、溶液中での光起電力による探針-試料間静電的相互作用力の検出を目指していく。
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Research Products
(5 results)