2009 Fiscal Year Annual Research Report
アスパラギン酸キナーゼの活性調節メカニズムに関する構造生物学的研究
Project/Area Number |
08J00261
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 彩子 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | アスパラギン酸キナーゼ / リジン生合成 / フィードバック阻害 / 制御メカニズム / Corynebacterium glutamicum / Thermus thermophilus / アミノ酸キナーゼ / キャリアタンパク質 |
Research Abstract |
昨年度までに、アミノ酸発酵菌であるCorynebacterium glutamicum由来のアスパラギン酸キナーゼ(CgAK)のα_2β_2型の結晶構造を阻害剤であるリジン・スレオニン結合型(不活性型)、スレオニン結合型(活性型)、また、フィードバック阻害耐性を与える変異体Ser301Pheのリジン、スレオニン結合型の結晶構造を決定している。これらの結晶構造の詳細な解析や比較からCgAKのリジン・スレオニンによる協奏阻害のメカニズムが以下のようであることが明らかとなった。まず、スレオニンの結合によってαサブユニットの活性制御ドメインとβサブユニットのダイマー化が起こり、その後にリジンの結合による構造変化によってαサブユニットの触媒ドメインと活性制御ドメインやβサブユニットとの間に相互作用が生じるという二段階の構造変化があり、その結果、阻害剤の結合によって基質の出入りができない「閉じた構造」が安定化されることによって阻害型となるというメカニズムでフィードバック阻害が起こる。このCgAKの活性制御機構はこれまでに不活性型、活性型の結晶構造が決定されているEscherichia coliやMethanococcus jannaschii由来のホモオリゴマー型のAKで言われているような制御メカニズムとは異なるものであった。 また、アスパラギン酸キナーゼと同じく、アミノ酸キナーゼファミリーの酵素である、高度好熱菌Thermus thermophilusのリジン生合成酵素LysZの構造機能解析を行っている。T.thermophilusのリジン生合成経路はこれまでにバクテリアで知られていた経路とは異なり、α-アミノアジピン酸(AAA)を経由して合成される。この経路の後半部分において、54アミノ酸からなるタンパク質LysWがAAAのα-アミノ基の保護基となり、その後の反応においてLysWがキャリアタンパク質として働くことが明らかとなっている。LysZはAAA以降の第二番目の反応であるLysW-AAAのリン酸化を担うアミノ酸キナーゼである。このLysZの基質認識機構を明らかにするため、LysZとLysW-AAAの共結晶化を試みた。現在までに、LysZとLysW-AAAの二者複合体の結晶構造が得られており、二つのタンパク質間の相互作用が静電相互作用によることを明らかにした。
|
Research Products
(3 results)