2009 Fiscal Year Annual Research Report
3本鎖DNA結合蛋白質STM1の3本鎖DNA認識機構と生物学的意義の解明
Project/Area Number |
08J00286
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
片山 拓馬 Tokyo University of Science, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 3本鎖DNA / 3本鎖DNA結合蛋白質 / ゲルシフト / 遺伝子発現制御 |
Research Abstract |
出芽酵母の3本鎖DNA結合蛋白質STM1の同定に用いられた3本鎖DNAであるPur19:Pur33:Pyr33について、配列を短縮したものや、塩基に一連の点変異を導入した変異型3本鎖DNA用オリゴヌクレオチドを調製し、変異型3本鎖DNAを形成させた。変異型3本鎖DNAと、既に我々が明らかにしているSTM1の3本鎖DNA結合ドメイン(STM1DBD)との結合活性をゲルシフト法で測定し、Pur19:Pur33:Pyr33の長さを短縮した場合や塩基に点変異を導入した場合に、変異のない場合と比べてどのくらい結合活性が変化するかを解析した。Pur19:Pur33:Pyr33の長さが短くなると、STM1DBDとの結合能は低下したが、Pur19:Pur33:Pyr33に点変異を導入しても、STM1DBDとの結合能はほとんど変化しなかった。さらに、Pur19:Pur33:Pyr33と塩基配列が全く異なる、ヒトのRas遺伝子上流の塩基配列から構成される3本鎖DNAとSTM1DBDとの結合能をゲルシフト法で解析したところ、STM1DBDはPur19:Pur33:Pyr33に結合するのと同等のレベルの結合能で、Ras遺伝子上流の塩基配列からなる3本鎖DNAとも結合した。以上より、STM1DBDは、3本鎖DNAの塩基配列よりも3本鎖DNAの形状を認識して結合することが明らかになった。転写制御因子など2本鎖DNAに特異的に結合する蛋白質の2本鎖DNA認識機構に関する知見は急速に蓄積されつつあるが、3本鎖DNAに特異的に結合する蛋白質の3本鎖DNAの認識機構に関する報告は無く、これを明らかにした本研究成果の意義は大きい。また、ヒトのRas遺伝子上流配列から形成させた3本鎖DNAとSTM1DBDとの結合能が明らかとなったことは、ヒトにおける3本鎖DNA結合蛋白質と3本鎖DNAによる遺伝子発現制御の可能性を示唆し、重要である。
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Research Products
(1 results)