2008 Fiscal Year Annual Research Report
液液界面の磁化率測定法の開発と界面磁気特異反応の研究
Project/Area Number |
08J00300
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
江上 茂樹 Osaka University, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 磁化率 / ヴェルデ定数 / 磁気泳動 / ファラデー効果 / 磁気回路 / パルス磁場 / 界面集合体 / 反磁性物質 |
Research Abstract |
自然界に分布する多様な元素は、メゾスコピックな集合体や微粒子・界面を形成し、機能している。一方、すべての物質は固有の磁性(磁化率)を有しており、物質のほとんどが常磁性体や反磁性体として機能している。しかし、これらのメゾスコピック物質の磁気分析法はその磁化の弱さから、未だ十分に開拓されていない。本研究では、界面集合体やμmオーダーの常磁性・反磁性物質に適用できる2種類の磁性測定法を開発した。 (1)磁気泳動法に磁気回路(2.8T)を適用し、液液界面にプルシアンブルーが吸着した、水溶液中の微小な有機液滴の磁気泳動速度を測定し、単一液滴の磁化率を測定した。さらに、液滴の磁化率のサイズ依存性から液滴界面の磁化率とプルシアンブルーの界面濃度を決定した。 (2)磁気光学効果の一種であるファラデー効果は、強磁性固体表面の磁区の検出などに利用されているが、これを微小な反磁性分子集合体の磁気光学測定に適用するために、12T,約1msのパルス磁場を用いる顕微ファラデー効果測定装置を製作し、反磁性物質(液体、ガラス、フェロセン)のファラデー回転角測定を行った。それぞれの物質のヴェルデ定数を測定し、装置の妥当性を示すとともに、従来の交流磁場法より約3000倍の高感度化を確認した。また、本装置を用いて、ガラス基板上および水面上に生成したフェロセンの分子集合体のファラデー効果スペクトルを測定した。さらに、磁場印加時の偏光角度依存性が非印加時と異なり、2倍の角度周期を示すことを見出した。これはファラデー効果測定では、磁場印加方向に垂直な二つの直交する遷移モーメントを測定しているためであると結論した。すなわち、微小領域のファラデー偏光角依存性により、磁化と遷移の空間情報を同時に取得できることを示した。本手法は光と磁場の効果により、液液界面集合体や生体細胞などのin situ磁気光学測定に適用可能と思われる。また、磁化と遷移モーメントの同時測定による磁気光学イメージングを可能にするものと期待される。
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Research Products
(3 results)